みなさん、こんにちは!だびでです。皆さんは新型コロナウィルスが流行した時期はどのように過ごしていたでしょうか。私はまだ学部生、大学院生の時期でした。卒業論文はインターネットで調査、講義はZoom、大学院の実習はギリギリ実施可能でしたが、感染することを恐れながらマスクをして最大限感染対策を行っていました。今、思うと懐かしいです。
今回、ブログに感想を書く本書はコロナ禍の日本社会の変化から始まり、いつのまにか”心”テーマがになっている不思議な本です。
作品情報
書名:心はどこに消えた?
著者:東畑開人(著)
出版:文藝春秋(2021/9/3)
頁数:256ページ
私がこの本を読んだ理由
新型コロナウィルスの流行中に大学院の指導員が私におすすめしていた本です。何でおすすめしてくれていたのかは忘れてしまいました…。
しかし、なぜかずっと頭の中に本書のタイトルが残っていました。そして、最近オーディブルを初めて本書を見つけたので聞くことにしました。専門書を読んで勉強をするというよりも心理士が書いた本を読んで何かを感じたいと理由で本書を聞くことにしました。
読者としての感想
本書では最初は新型コロナウィルスによって変化した社会について触れていました。最初は新型コロナウィルスを恐れていた時代が懐かしいと感じつつ、世の中にはこのようにコロナ禍を過ごしてきた人がいるんだなと思う程度でした。しかし、少しずつ「コロナ禍の時に私の心はどうなっていたかな」、「心を忘れていたいなかったかな」と考えながら聞くようになっていきました。
本書は言語表現にユーモアがあり親しみやすい文章で聞きながら「フフフ」と一人で何回も笑いました。そして、本書で綴られる一つ一つの小さなドラマが私の心を暖かくしてくれました。次は「どんなエッセイなんだ」「どんな心を感じることができるんだ」とさらに聞きたくなって、いつのまにか最後まで聞き終わってしまう没入感がありました。
心理士としての感想
「心はどこに消えたのか」ということについて心理士としての私は正直よくわかりませんでした。しかし、大きな社会問題に焦点が当たるこの時代に臨床場面(カウンセリング、心理検査など)を通して人の”心”に触れることの暖かさと重要さを感じて「これからも心理士としての仕事を頑張ろう」と本書に励まされました。
なによりも心理士の大先輩の日常生活や何を考えているかを知れたことは単純に良い刺激となりました。言い方は悪いですが、心理士は「こんな感じでもいいのか」と心が軽くなりました(笑)。
本書を聞いて、心理士として自分の”ユーモア”と”心”を大切にしたいと思えました。私の職場では会話はあるものの心理士は特別扱い…。看護師や精神保健福祉士と比べると異質な存在のようです。そんな中でも、他の職種に「心理士をやっている人って怖いと思ってけど、こんなもんなんだ」と思ってもらえることも1つの関係性の作り方なのかな、カウンセリングの中でも心理士のユーモアはクライエントとの関係性を深めたり、クライエントが小さな発見をしたりするのかなー、とリラックスしながら心理士としてのあり方を考えることができました。
終わりに(感想)
本書は社会状況と人の心理は密接な関連があることを教えてくれました。これほど専門用語を使わないで人の心の複雑さと温かみ、もろさを表現することができる著者と語彙と表現力には圧巻でした。難しい専門用語を必死に読んだことに疲れた時にも読めるおすすめの一冊です。
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