こんにちは!だびでです。皆さん”愛”について考えたことはありますか?
恥ずかしくて「はい」とは言いにくいかもしれませんね(笑)。しかし、恋人ができた時、結婚する時、子どもが生まれた時など様々なタイミングで無意識的にでも「愛」について考えるのではないでしょうか。今回は愛について書かれている本を紹介したいと思います。
作品情報
書名:愛するということ
著者:エーリック・フロム(著)/鈴木晶(訳)
出版:(2020/8/28紀伊國屋書店)
頁数:212ページ
私がこの本を読んだ理由
大学院の頃からある私のカウンセリング・心理療法のテーマの1つは”愛による人格の変容”です。そんな私がある日、ショッピングモールの本屋で心理学のコーナーをうろうろしていていると様々な本の中からふとこの本が目に入りました。『愛するということ』というタイトルに惹かれて手にとると表紙がシンプルでかっこいい…。そして、著者は新フロイト派のエーリック・フロムだと知りました。性について理論を広げたフロイトから始まった精神分析学者が愛についてどのように述べるのかが非常に気になり、”愛”について思考を深めるにはうってつけの本だと直感で感じで購入することにしました。
この本をおすすめの人
- 心理療法・カウンセリングなどをしている心理職の方
- 愛について考えたい方
本の内容
本書はそもそも愛とは一体何か、人は愛のどういうことについて悩み考えているのかが最初に述べられています。そして、本書の一貫したポイントは「愛は能動的な技術である」ということでした。また、父親の子どもに対する愛、母親の子どもに愛する愛、恋人への愛、自分への愛…など様々な愛が人にはあります。それらの愛を本書は理論的に述べ、比較しています。そして、”愛”は社会的背景との深い関係があり、時代によって世間一般的に”愛”や”人の価値観”の変化が述べられています。
最後の章ではどのように愛するということを修練できるかということが述べられています。この本を読む方々はおそらくこの章が一番知りたいのではないでしょうか。愛するためには私たちが思っていることよりもはるかに当たり前ではありますが、現代においては難しい修練をしなければいけいないようです。
感想
”愛”を様々な日常的なものに例えられていました。私にとっては、非常にわかりやすく、私の今までの日常生活と臨床経験を振り返りながら読みました。読み進めるたびに「ギクッ」と思うことや「なるほど」と納得することがあって楽しく学ぶことができました。
最初にも書きましたが、私はカウンセリング・心理療法のテーマには「”愛”による人格変容」があります。いままでは”愛”をカウンセリングルームの中でどのように発揮できるかを考えていました。しかし、愛の修練は日々の生活で意識することが必要だと知ることができました。カウンセリングや心理療法は心理士の心を含む体を使うものであり、心理士自身の人格的成長が不可欠だと改めて感じることができました。
また、”愛”とひとくくりにまとめて実際に私が言葉としてうまく説明できず、抽象的なものとして捉えていました。しかし、本書を読み、愛にも種類があり、愛することにも愛されることにも具体的な意味があることを学び愛に対する理解を深めることができました。
この著書を読む前には全く視点はありませんでしたが、クライエントの愛の形や心理士に向ける感情を知るうえでもよい知識の蓄積になったと感じています。これは思わぬ収穫でした。
皆さんもよければ本書を手に取って、”愛”について考えてみてはどうでしょうか。
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