ミステリー小説を読んでみたい」と思い立ったとき、私が最初に手に取ったのが知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』でした。昔からそのタイトルや美しい表紙に心を惹かれていて、名前だけは知っていた一冊。社会人になってから改めて「読書をしたい」と思ったとき、自然とこの作品を読むことを決めました。
実際にはAudibleで聴いたのですが、それでも私にとっては“読んだ”という感覚が強く残っています。そして今では、「読書を趣味にしたい」と思わせてくれた、思い入れの深い一冊となっています。
※以下はネタバレを含む可能性があります。
作品紹介
作品情報
書名:ガラスの塔の殺人
著者:知念 実希人
出版:実業之日本社(2021/7/30)
頁数:504ページ
『硝子の塔の殺人』は、雪深い山中にそびえるガラス製の塔「硝子館」を舞台にした本格ミステリーです。ミステリー愛好家の大富豪・神津島太郎の招待で、刑事、霊能力者、小説家、料理人など一癖も二癖もあるゲストたちが集まります。しかし、館内で殺人事件が発生し、医師の一条遊馬と自称名探偵の碧月夜が事件の謎に挑むことに。閉ざされた環境で次々と起こる惨劇、13年前の未解決事件との関連、巧妙なトリックとどんでん返しが読者を引き込みます。
著者紹介
知念実希人(ちねん みきと)さんは、1978年10月12日生まれ、沖縄県出身の小説家であり、現役の内科医でもあります。東京慈恵会医科大学を卒業後、2004年から医師として勤務を開始し、2011年に「レゾン・デートル」で第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。翌年、同作を改題した『誰がための刃』で作家デビューを果たしました。医療の知識を活かしたリアリティある描写と緻密なプロット構成が特徴で、代表作には「天久鷹央の推理カルテ」シリーズや『仮面病棟』『崩れる脳を抱きしめて』などがあります。本屋大賞に5度ノミネートされるなど、多くの読者から支持を集めている作家です。
全体的な感想
最初は、登場人物が多くて名前と関係性を把握するのに苦労しました。しかし、物語が進むにつれてどんどん引き込まれていきました。展開される事件の数々は、ミステリー初心者の私にはとても新鮮でスリリングでした。
私はアニメでもドラマでも恋愛要素がある作品が好きなのですが、主人公である一条遊馬と碧月夜の恋愛要素が絶妙にミステリーらしく織り込まれていて、それが作品全体の空気感を豊かにしてくれていました。
ミステリーの面白さ
本書で最も印象的だったのは、やはり最後の「トリック」でした。途中までは「なんとなくわかる気がするけど、決定的なピースが足りない」と感じていたところに、最後の展開で一気にすべてがつながる——この快感が、まさにミステリーの醍醐味なんだと実感しました。事件の構造や真相の明かされ方が、まったく予想もつかない形で展開されていき、読みながら(聴きながら)何度も「えっ、そういうことだったの!?」と驚かされました。
この一冊が、私をミステリーの世界へと連れて行ってくれた
本書は、有名なミステリー作品や著者の名前が登場する場面では、知識が追いつかず少しもどかしさを感じることもありました。でも、それも含めて「これからもっとミステリー小説を読んでみたい」と思わせてくれるきっかけになったように思います。
最後に
この本との出会いをきっかけに、私はすっかりミステリーと知念実希人さんの作品にハマってしまいました。『ガラスの塔の殺人』は、ミステリー初心者の私にとって、ミステリー小説の面白さと奥深さを教えてくれた、大切な一冊です。
これからもっと多くのミステリー作品に出会っていきたい——そう思わせてくれる、本当に素晴らしい本でした。
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