【世界自殺予防デー】日本における自殺の現状と公認心理師の役割

精神疾患

皆様、こんにちは公認心理師のだびでです。

毎年9月10日は世界自殺予防デーです。この日は、自殺予防について考え、意識を高める大切な機会となっています。

また、日本では、自殺対策基本法に基づいて毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」、毎年3月を「自殺対策強化月間」と定めています。

自殺は、哲学者から医師、社会学者まで様々な専門家が長年注目してきた複雑な現象であり、社会全体で取り組むべき重要な公衆衛生上の課題です。私は普段精神科で働いていますが、自殺リスクは精神科領域の中でも特に気をつけていることの1つでもあります。完全な防止は簡単ではありませんが、適切な支援と活動を通じて予防は可能だと私たちは信じています。

今回は、このブログを通して、日本の自殺の現状と自殺予防について知っていただきたいと思っています。

日本にける自殺者の全体像(令和6年)

まずは厚生労働省がまとめている自殺者の統計から抜粋して令和6年の自殺者数についてみていきます。

令和6年の自殺者数

令和6年の自殺者数は合計で20320人でした。令和5年は21837人だったので1517人減っています。また、統計開始以降で2番目に少ない数値となりました。
しかし、毎年多くの方が自分の命を終わらせている事実は受け止める必要があります。

メディアでは、若い世代の自殺が取り上げられることが多いですが、自殺が最も多いのは男女ともに50~59歳です。また、男性が女性よりも2倍近く自殺者数が多いころも心に留めておきましょう。

令和6年の自殺者の原因と動機

男性と女性のどちらも多くの自殺者が「健康問題」を理由の1つとしてあげています。厚生労働省の統計には、「健康問題」の中でも詳細な統計があるのですが、最も高い割合を占めているのは男女ともに「病気の悩み(うつ病)」でした。

私たちの公認心理師のようなうつ病を支援する人はこの事実を受け止めてより精進する必要があります。また、うつ病は15人に1人が発症すると言われいる精神疾患です。そのため、誰でもうつ病になって自殺を選択するほど追い込まれる可能性があることに注意しながら、心の健康について意識する必要があります。

また、男性は「経済・生活問題」の割合が高いことも特徴的です。ここでは、理由について言及しませんが、それぞれがこの事実を知り、考えることが大切です。

なお、自殺の動機は1つではないことが多いです。自殺の背景にはさまざまな要因が連鎖しています。この統計も一人につき複数選択可能であったことを踏まえて読み取る必要があります。

子どもの自殺について

全体的な自殺者数はピークであった平成初期から統計上は減少傾向にあります。しかし、令和6年は子どもの自殺者数は529人と過去最多でした。これは、大きさな問題となっています。

子どもの自殺の原因・動機で最もの多いのは、「学校問題」でした。その中でも「学業不振」「学友との不和」が理由に含まれている子どもが多かったようです。

自殺対策における公認心理師の役割

私たち公認心理師は、様々な場所で自殺対策に携わっています。

今回は、公認心理士がどのように自殺対策に携わっているかを次の3つにわけて紹介します:

  • 予防と啓発 – 自殺予防の知識を広める活動
  • 自殺リスクの早期発見 – 心の変化に気づくためのサポート
  • こころのケア – 悩みを抱える方への支援

予防と啓発活動

公認心理師は心理学の専門知識を活かして、効果的な自殺予防方法を提案しています。学校や職場、地域でのメンタルヘルスや心理学の講演会を通じて、こころの健康や自殺予防について情報を伝え、社会全体の意識向上に努めています。これらの活動は、自殺リスクの低減と早期発見・支援につながる重要な取り組みです。

自殺リスクの早期発見 – 心の変化に気づくためのサポート

自殺対策には、自殺するリスクを早期に発見し、支援をすることが重要です。

心理検査

心理検査は、知能や性格だけを検査するものではありません。

検査全体の結果を通して、総合的に自殺リスクの可能性について検討します。その結果、どのような支援が必要なのかを支援者に所見として伝えます。

多職種連携

公認心理師は学校、職場、病院などさまざまな場所でさまざまな人と働いています。

それぞれの場所で医師や教師など他の専門家と協力して、自殺のリスクがある方を早く見つけて適切な支援を行います。

こころのケア – 悩みを抱える方への支援

カウンセリング

様々な場所でカウンセリングを提供しています:

学校:スクールカウンセラーとして、子どもの相談を聞き、学校や保護者と協力して支援します。

会社:産業カウンセラーとして、働く人の悩みを聞き、職場環境の改善にも協力します。

病院:心理士として、医師や看護師などと連携しながら、心のケアを行います。

相談窓口

公認心理師の支援はカウンセリングだけではありません。

  • 電話相談
  • 各機関の相談窓口
  • チャット相談

これらはカウンセリングよりも気軽に利用でき、短時間でも心の支えになります。さまざまな職種の人が相談を聴いていますが、その一つに公認心理師もいます。

「死にたい」と思った時、一人で抱え込まないでください。あなたの周りには、あなたの気持ちを受け止め、支えてくれる人がいます。

おわりに

自殺は決して「辛い」「苦しい」の解決策ではありません。どんなに苦しい状況でも、必ず解決の道があります。適切な支援と理解があれば、多くの方が再び人生に希望を見出すことができるのです。この記事で紹介した自殺の現状と支援の道が、誰かの命を救うきっかけになれば幸いです。

私は公認心理師として、辛い気持ちを抱える方々に寄り添い、一人ひとりが安心して生きられる社会の実現に向けて、日々の臨床活動や啓発活動を通じて精進していきます。

参考文献

厚生労働省自殺対策推進室(2025)令和6年中における自殺の状況.https://www.mhlw.go.jp/content/001464717.pdf

国際自殺予防協会(IASP)https://www.iasp.info/wspd/

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