スマホをやめたいのにやめられない理由|意志力に頼らない7つの対策

通知に囲まれたスマホを見つめる男性と、設定変更を案内する黒柴のだびで 神ゲー攻略

皆さん、こんにちは。公認心理師のだびでです。

「少しだけ見るつもりだったのに、気づけば30分たっていた」

「寝る前のスマホをやめたいのに、毎晩同じことを繰り返してしまう」

「アプリを消したのに、数日後には入れ直していた」

そんな経験はありませんか?

何度もうまくいかないと、「自分は意志が弱い」「もっと我慢しなければ」と考えてしまうかもしれません。

しかし、スマホをやめにくいのは、意志の弱さだけでは説明できません。スマホを確認する行動は習慣になりやすく、退屈や不安をすぐに紛らわせてくれます。さらに、通知、無限スクロール、いつでも手が届く便利さが、次の確認を誘います。

先に今回の結論を言うと、スマホを開きたくなってから我慢するより、開きたくなる前の環境を変えるほうが続けやすいということです。

ゲームに例えるなら、強い敵に毎回根性だけで正面から挑む必要はありません。装備を整え、フィールドの難易度を変えれば、消耗するMPを減らせます。

この記事では、スマホをやめたいのにやめられない理由をやさしく整理し、意志力に頼らず使い方を変える7つの対策を紹介します。

この記事でわかること

  • スマホをやめたいのにやめられない仕組み
  • 長時間使用と「問題のある使用」の違い
  • スマホが睡眠や集中を妨げる経路
  • 意志力に頼らない7つの対策
  • 2週間で無理なく始める方法
  • 専門家へ相談したほうがよい目安

注意: この記事は公認心理師の立場から情報提供を目的として書いています。
診断・治療の断言はできません。気になる症状がある場合は、必ず専門家にご相談ください。

「スマホ依存」とは?長時間使うだけでは決まらない

日常では「スマホ依存」という言葉が広く使われています。

一方、医学的には、スマホ依存はDSM-5-TRやICD-11に独立した診断名として掲載されていません(American Psychiatric Association, n.d.)。この記事では、一般にスマホ依存と呼ばれるものを、自分で使用を調整しにくく、生活に困りごとが生じている状態という意味で使います。

ここで大切なのは、スマホを長く使っているだけで依存と決まるわけではないことです。

スマホには、連絡、決済、地図、仕事、勉強、読書など、生活に必要な機能が集まっています。そのため、同じ4時間でも、仕事に必要な使用と、眠りたいのに動画を止められない使用では意味が違います。

目安になるのは、時間の長さよりも、自分で選べているか、生活の大切な部分が押し出されていないかです。

長時間でも調整できている使用 問題になりやすい使用
目的を決めて使っている 目的もなく何度も開く
必要なときに中断できる やめようとしても止められない
睡眠や仕事を優先できる 睡眠や仕事を繰り返し後回しにする
使用後に目的が達成される 使用後に後悔や自己嫌悪が残る
状況に応じて使用量を変えられる 悪影響があっても同じ使い方が続く

スマホそのものではなく、SNS、ゲーム、ショート動画、買い物、ニュース、ギャンブルなど、特定の活動が問題の中心になっていることもあります。

「スマホを全部やめる」と考える前に、何を、いつ、どのように使うと困るのかを分けることが、対策の出発点になります。

スマホをやめたいのにやめられない5つの理由

スマホを見続けてしまう背景は、一つではありません。

習慣、アプリの仕組み、気分、人間関係など、いくつもの要素が重なっています。自分に当てはまる理由を探しながら読んでみてください。

理由1:短い確認が習慣として自動化される

スマホの確認は、一回一回はとても短い行動です。

時刻を見る。メッセージが来ていないか確認する。SNSを一度だけ更新する。

数秒で終わるため、大きな行動をした感覚は残りにくいでしょう。しかし、そのままニュースや動画を開けば、合計時間は少しずつ伸びていきます。

こうした確認は、同じ場面で繰り返すうちに自動化されます。

  • 電車に乗ったら開く
  • 仕事が一区切りついたら開く
  • 難しい課題を始める前に開く
  • ベッドに入ったら開く
  • 通知音が鳴ったら開く

この段階では、「スマホを見よう」と毎回はっきり決めているわけではありません。場所や時間、感情がスイッチとなり、気づく前に手が動きます。

スマホには、短い確認が習慣になり、そこから別の使い方へ広がりやすいという報告もあります(Oulasvirta et al., 2012)。

つまり、必要なのは根性ではなく、行動のスイッチを見つけることです。

理由2:次の情報を期待させる仕組みがある

SNSの反応、メッセージ、ニュース、ショート動画は、開くまで何が出るかわかりません。

毎回おもしろいわけではなくても、ときどき「見てよかった」と思える情報や、嬉しい反応に出会えます。すると、「次は何かあるかもしれない」という期待が生まれます。

さらに、無限スクロールや自動再生には、章末や番組終了のようなわかりやすい停止地点がありません。そのため、「ここで終わり」と判断するきっかけを失いやすくなります。

この仕組みは、よく「ドーパミンが出るから依存する」と説明されます。報酬を学ぶ過程に脳の働きが関わるのは確かですが、ドーパミン一つですべてを説明できるわけではありません。

その人の気分、期待、習慣、周囲の環境、衝動を止める力などが組み合わさって、行動が繰り返されると考えるほうが実態に近いでしょう(Brand et al., 2019)。

理由3:退屈・不安・孤独から一時的に離れられる

スマホは、楽しいものを見るためだけに使うとは限りません。

気まずい待ち時間、取りかかりたくない仕事、寝る前の不安、ひとりでいる寂しさ。こうした居心地の悪さから少し離れるために、画面を開くこともあります。

たとえば、難しい仕事を始める前に動画を見ると、その瞬間は不安が軽くなります。しかし、仕事が遅れれば不安は大きくなり、また動画へ逃げたくなります。

難しい課題 → 不安になる → スマホを見る → 一時的に楽になる → 課題が遅れる → さらに不安になる

この循環に入っている場合、使用時間だけを制限しても、もとの不安や退屈は残ります。

感情をうまく扱いにくいことと、問題のあるスマホ使用には関連があるという結果もあります(Shahidin et al., 2022)。だからこそ、「何分見たか」だけでなく、開く直前に何を感じていたかを知ることが大切です。

理由4:見逃しへの不安と返信のプレッシャーがある

「返信が遅いと思われたくない」

「自分だけ話題についていけなくなるかもしれない」

「もっと楽しい出来事を、みんなは経験しているのではないか」

このような、取り残されることへの不安はFoMO(Fear of Missing Out)と呼ばれます。FoMOが強いほど、携帯電話を手放しにくい傾向があるという結果もまとめられています(Zhang et al., 2023)。

ここには、本人の習慣だけでなく、人間関係のルールも関わります。

既読表示、仕事のグループチャット、連続ログインの記録などがあると、「すぐ反応しなければ」と感じやすくなります。通知を消すだけでなく、「返信はこの時間にする」「急ぎは電話にしてもらう」と周囲に伝えることが必要な場合もあります。

理由5:使い始めるまでの手間がほとんどない

スマホは、いつも手元にあり、数秒で開けます。

しかも、必要な機能と娯楽が一つの端末に同居しています。「地図を確認する」「家族へ返信する」という目的で開き、そのままSNSへ移ることもあるでしょう。

お菓子を食べすぎないために、机の上ではなく棚の奥へしまう方法があります。スマホにも同じように、使い始めるまでの小さな手間が必要です。

ホーム画面からアプリを外す、ログアウトする、別室に置く。この数秒の手間が、「本当に今、開きたいのか」と気づく時間になります。

きっかけからスマホを見て一時的に楽になり、生活への支障を経て再び見たくなる循環図

なぜ意志力だけでは続かないのか

「次からは絶対に見ない」と決めても、失敗することがあります。

ここでは、意志力だけでは続きにくい理由を、3つに分けて説明します。

我慢はスマホを開きたくなった後に必要になる

意志力で耐えようとすると、スマホを開きたくなるたびに判断が必要です。

朝、通勤中、仕事の合間、食事中、寝る前。一日に何十回も「見るか、見ないか」を決めるのは、想像以上に大変です。疲れている日や気分が落ちている日は、判断に使える余裕も少なくなります。

一方、別室に置いてあれば、そもそも画面が目に入りません。アプリからログアウトしてあれば、一回の反射的なタップでは開けません。

これは自分を厳しく管理する罰ではなく、判断の回数を減らす環境調整です。

スマホの全面禁止は現実とぶつかりやすい

スマホには、連絡、決済、交通、仕事など、必要な役割があります。

そのため、「今日から一切使わない」というルールは、すぐに例外が生まれます。一度例外を認めると、娯楽アプリまで開いてしまい、「もう失敗したからいい」とルール全体を手放しやすくなります。

目標は、スマホをゼロにすることではありません。

必要なときは使い、使いたくないときには閉じられる状態を取り戻すことです。

減らした時間に何をするか決めないと戻りやすい

スマホを置くと、今まで画面で埋まっていた退屈や不安が戻ってきます。空いた時間の使い道がなければ、再びスマホへ手が伸びるのは自然なことです。

スマホの利用を減らすことで気分や睡眠が改善した一方、制限後には使用時間が増えた例もあります(Pieh et al., 2025)。

「減らす」だけでなく、散歩、入浴、紙の本、誰かとの会話、早めの就寝など、取り戻した時間を何に使うかまで決めておきましょう。

スマホの使いすぎで起こりやすい困りごと

スマホの使い方と、睡眠、気分、集中には関連があります。

ただし、「スマホを使えば必ず不調になる」「不調の原因はすべてスマホだ」と考えるのは正確ではありません。不調があるからスマホを見る時間が増えることもあり、両方向の影響が考えられます。

睡眠:寝る時刻が後ろへずれやすい

寝る前に動画を一本だけ見るつもりが、次々と再生されて就寝が遅くなる。メッセージが気になり、夜中に何度も確認する。

こうした使い方は、睡眠時間と眠りの質を損ねる可能性があります。スマホの使いすぎと睡眠の質の低下に関連が見られたという報告もあります(Chu et al., 2023)。

ここでは、ブルーライトだけを悪者にしないことが大切です。画面の色を暖色に変えても、コンテンツを見続ければ寝る時刻は遅れます。

小規模な試みではありますが、就寝前30分のスマホ使用を控えた人たちに、寝つきや睡眠時間などの改善が見られた結果もあります(He et al., 2020)。

まずは、寝る30分前を「スマホを見ない時間」にするだけでも構いません。端末を寝室の外で充電できない場合は、ベッドから手の届かない棚へ置く方法もあります。

睡眠の問題が続いている方は、不眠症と睡眠不足の違いを解説した記事も参考にしてください。

集中:確認のたびに作業が中断される

資料を読んでいる途中で通知を見ると、返信後に「どこまで読んだか」を探し直さなければなりません。

一回の中断は短くても、元の作業へ戻るためには時間と集中力を使います。通知がなくても、気になって自分から画面を確認する場合もあります。

なお、「スマホが机の上にあるだけで、誰でも能力が大幅に落ちる」とまでは言い切れません。この点は結果にばらつきがあります(Parry & le Roux, 2024)。

それでも、自分が実際に何度も開いてしまうなら、机から離す意味はあります。大切なのは、スマホ一般の影響を恐れることではなく、自分の作業がどこで中断されているかを見ることです。

気分:不安や落ち込みと影響し合う

問題のあるスマホ使用は、不安や抑うつと関連する結果がまとめられています(Augner et al., 2023)。

ただし、これだけで「スマホがうつの原因」とは決められません。

夜更かしや他人との比較によって気分が悪くなることもあれば、もともとの不安や孤独からスマホを見る時間が増えることもあります。両方が循環している可能性もあります。

気分の落ち込みが強いときは、使用時間を責めるより、睡眠や食事を整え、必要に応じて相談先を確保することを優先してください。

身体と人間関係:同じ姿勢と会話の中断

画面を見るときに頭を前へ傾け、同じ姿勢が長く続くと、首や肩に負担がかかります。スマホの使いすぎと首の痛みに関連が見られたという結果もあります(Chen et al., 2025)。

時間だけでなく、姿勢を変える、立ち上がる、休憩を挟むことも必要です。

また、対面で話している途中に何度も画面へ注意を向けると、相手は「自分の話よりスマホが大切なのかもしれない」と受け取ることがあります。

スマホがあること自体より、大切な場面で注意をどこへ向けるかがポイントです。

まず確認したい「減らすべき使い方」

対策を始める前に、3日間だけ自分の使い方を観察してみましょう。

この段階では、無理に減らさなくて構いません。先に敵の出現場所を確認するイメージです。

使用時間と一緒に「何が押し出されたか」を見る

スマホのスクリーンタイムには、合計時間だけでなく、アプリ別の時間や端末を開いた回数が表示されることがあります。

次の4点を確認してみてください。

  1. どのアプリを開いたか
  2. 何時ごろ、どのくらい使ったか
  3. 開く直前に、何をして何を感じていたか
  4. その結果、睡眠、仕事、食事、会話の何が後回しになったか

たとえば、次のように短く記録します。

23時40分。ベッドで明日の仕事を考えて不安になった。SNSを開いて25分見た。寝る時刻が遅くなった。

この記録からは、「SNSを25分見た」だけでなく、仕事への不安とベッドが引き金になったことがわかります。

セルフチェックは診断ではなく、使い方を見直す目安です

次の項目で、繰り返し当てはまるものがないか確認してみましょう。

  • 予定していたより長く使う
  • 減らそうとしても、同じ使い方に戻る
  • 使用できないと強く落ち着かない
  • スマホが気になり、仕事や学習に集中できない
  • 睡眠、食事、会話を後回しにする
  • 悪影響を自覚しても使い続ける
  • 周囲から使いすぎを何度も指摘される

代表的な確認方法としてSAS-SVという10項目の尺度があり、日本語版も公開されています(国立病院機構久里浜医療センター, n.d.)。

ただし、このような尺度だけで診断はできません。スマホ使用を測る尺度は数多く、共通した唯一の基準が決まっているわけでもありません(Harris et al., 2020)。

点数に一喜一憂するより、「自分で調整できるか」「生活にどのような影響があるか」を、対策を選ぶ材料にしてください。

意志力に頼らない7つの対策

ここからは、スマホの使い方を変えるための具体策を紹介します。

すべてを一度に始める必要はありません。最初は一つか二つを選び、生活に合う形へ調整してください。

実際に、通知を減らす、端末を見えない場所へ置く、画面を白黒にするなど、複数の小さな工夫を組み合わせて、問題のある使用やスクリーンタイムなどが改善した例もあります(Olson et al., 2023)。

スマホの使い方を変える7つの対策を、絞る・記録・通知・手間・距離・代替・再開に整理した一覧図

対策1:減らすアプリ・時間・場面を一つに絞る

「スマホをやめる」という目標は、範囲が広すぎます。

連絡や地図を使っただけでもルール違反になり、成功したかどうかを判断できません。まずは、生活への影響が大きい使い方を一つだけ選びます。

たとえば、次のように決めます。

  • 23時以降はショート動画を見ない
  • 仕事を始めてから25分間はSNSを開かない
  • 食事中はニュースアプリを見ない
  • 子どもと話している間は仕事のチャットを開かない

「アプリ」「時間」「場面」の三つが入ると、ルールが具体的になります。

今日の設定

スクリーンタイムを見て、最も後悔が多かった使い方を一つ選びます。最初から利用時間全体を半分にする必要はありません。

つまずいたとき

守れない日が続いたら、意志を強くするのではなく、範囲を小さくします。「一晩中見ない」が難しければ、「ベッドへ入って最初の15分は見ない」から始めます。

大きな目標を小さく分ける方法は、スモールステップで課題を刻む方法でも詳しく解説しています。

対策2:スマホを開く引き金を記録する

自動的な行動を変えるには、直前のスイッチを知る必要があります。

3日から1週間だけ、次の項目をメモしてみましょう。

  • 何時だったか
  • どこにいたか
  • 何をしていたか
  • どんな気持ちだったか
  • 何のアプリを開いたか

細かい日記は必要ありません。「15時、難しいメールの前、不安、SNS」のような一行で十分です。

記録がたまったら、よく出てくる引き金を二つか三つ選びます。

今日の設定

スマホのメモではなく、付箋や小さな紙を使うと、その記録のために別のアプリを開かずに済みます。

つまずいたとき

記録を忘れても、夜に思い出せる一場面だけ書きます。完璧な記録より、自分のパターンを一つ見つけることが目的です。

対策3:不要な通知と表示を減らす

通知は、「今すぐ確認して」と外から送られてくる合図です。

まず、緊急性の低いアプリの音、振動、バッジ、ロック画面の表示を止めます。連絡アプリは、家族や重要な相手だけを例外にしてもよいでしょう。

ただし、通知をすべて消せば自動的に使用時間が減るとは限りません。通知を止めても、確認回数やスクリーンタイムが変わらなかった例もあります(Dekker et al., 2025)。

通知がなくても、自分の習慣や不安が合図になるためです。そのため、通知の整理は、置き場所や確認時刻のルールと組み合わせます。

今日の設定

買い物、ニュース、ゲーム、SNSの通知から止めます。電話や防災情報など、必要な通知まで一律に消さなくて構いません。

つまずいたとき

「見逃しが不安」という場合は、完全に見ないのではなく、昼休みと帰宅後など、確認する時刻を先に決めます。急ぎの連絡方法も周囲へ伝えておきましょう。

対策4:開くまでの「小さな手間」を増やす

使いすぎるアプリへ一回のタップで到達できると、考える前に開いてしまいます。

そこで、アクセスまでに小さな手間を加えます。

  • ホーム画面から外す
  • アプリからログアウトする
  • アプリを削除し、必要なときだけブラウザで見る
  • 利用する時間帯を制限する
  • 画面を白黒表示にする
  • アプリ制限の解除に長めの暗証番号を使う

白黒表示にすると、すぐにスクリーンタイムが減った例もあります。ただし、短期間で気分や学業まで改善したとは確認されませんでした(Zimmermann & Sobolev, 2023)。

小さな手間は万能薬ではありませんが、無意識のタップと意図的な使用の間に、一呼吸をつくってくれます。

今日の設定

最もよく開く娯楽アプリを、ホーム画面の一ページ目から外します。検索しなければ開けない場所へ移すだけでも構いません。

つまずいたとき

すぐ解除してしまう場合は、自分だけで操作できないブロッカーを検討します。ただし、仕事や緊急連絡に必要な機能まで使えなくならないよう、対象を確認してください。

対策5:端末を遠ざけ、使わない場所を決める

目の前にあるスマホを見ないように耐えるより、手を伸ばしても届かない場所へ移したほうが簡単です。

集中したいときは、机の上ではなく、バッグ、棚、別室へ置きます。ベッドで長く見てしまうなら、寝室の外で充電し、目覚まし時計を別に用意します。

すべての場所を禁止区域にする必要はありません。

  • 食卓では使わない
  • ベッドへ持ち込まない
  • 入浴中は脱衣所へ置く
  • 集中作業の25分間だけ別室へ置く

場所と行動を組み合わせると、「今は使ってよいか」を毎回考えずに済みます。

スマホのモバイルインターネットを2週間使えないようにしたところ、気分、心の健康、集中に良い変化が見られた例もあります(Castelo et al., 2025)。ただし、決められた期間を守れた人は多くありませんでした。

強い制限ほどよいとは限りません。続けられる距離から始めましょう。

今日の設定

一番困っている場面を一つ選び、スマホの定位置を決めます。たとえば「仕事中は背後の棚」「夜は寝室の外」です。

つまずいたとき

別室が難しければ、画面を伏せて置く、引き出しへ入れる、バッグのファスナーを閉めるなど、距離を一段だけ増やします。

対策6:スマホが果たしていた役割を別の行動へ移す

スマホを置いた後に何をするか、先に準備します。

ポイントは、禁止したアプリと同じ役割を果たす行動を選ぶことです。

スマホを開く理由 代わりに試せる行動
退屈 紙の本を2ページ読む、1曲聴く、短く散歩する
不安 深呼吸を3回する、心配を紙に書く
孤独 信頼できる人へ一対一の連絡をする
疲れ 目を閉じる、入浴する、肩を回す
課題から逃げたい 作業を5分だけ始める、最初の一手だけ書く
情報が気になる 後で調べるリストへ一行だけ書く

代替行動は、一分から五分で始められるものがおすすめです。準備が大変だと、手軽なスマホに戻りやすくなります。

今日の設定

最も多かった引き金を一つ選び、「もし不安でSNSを開きたくなったら、心配を紙に一行書く」のように決めます。

ストレス対処の選択肢を増やしたい方は、ストレスコーピングの解説も参考にしてください。

つまずいたとき

代替行動を立派な活動にしすぎないでください。30分の運動が難しければ、立って伸びをするだけでもよいのです。最初の目的は、スマホ以外の選択肢を一つ増やすことです。

対策7:失敗した後の再開ルールを先に決める

使用ルールを一度も破らない人を目指すと、一回の失敗が全体の終了になりやすくなります。

そこで、失敗したときの行動を先に決めておきます。

気づいた時点で画面を閉じ、スマホを決めた場所へ戻す。

翌日まで待たず、次の食事、次の作業、次の就寝から再開する。

これは、失敗をなかったことにするのではありません。途中で倒れても、難易度を調整してリスポーンするためのルールです。

一週間に一度、使用時間だけでなく、睡眠、集中、気分、対人時間がどう変わったかを振り返ります。

今日の設定

自分の再開ルールを一文で書き、充電場所や机の近くへ貼ります。

つまずいたとき

同じ場面で何度も破るなら、意思の問題ではなく設計が合っていません。時間を短くする、対象アプリを一つに戻す、置き場所を変えるなど、難易度を下げます。

習慣を続ける仕組みは、習慣化のコツ4選でも詳しく紹介しています。

2週間で始めるスマホ攻略プラン

七つの対策を、2週間の小さな実験にまとめてみましょう。

これは治療の手順ではなく、自分の使い方を知り、生活に合う工夫を探すための例です。

観察、距離を作る、代替行動を試す、二つの対策を残すという2週間の実践ルート

1〜3日目:減らさずに観察する

スクリーンタイム、よく開くアプリ、就床時刻、困った場面を記録します。

この三日間は、数字が多くても責めません。「夕食後より、仕事前に確認が増える」「動画よりメッセージが気になる」など、自分のパターンを探します。

4〜7日目:合図を減らし、距離を作る

問題が大きかったアプリと場面を一つ選びます。

不要な通知を止め、アプリをホーム画面から外します。集中時や就寝時のスマホ置き場も決めます。

目標は、「先週より一度でも、自分で閉じることができた」です。初日から理想の時間にする必要はありません。

8〜13日目:代替行動を試す

よくある引き金に合わせ、代替行動を一つ試します。

  • 退屈なら、紙の本を開く
  • 不安なら、心配を一行書く
  • 疲れなら、三分だけ目を閉じる
  • 課題から逃げたいなら、最初の五分だけ始める

毎晩、スマホの時間に加えて、睡眠、気分、集中を10点満点で記録します。

14日目:効果があり、負担の少ない対策を二つ残す

二週間で使用時間が大きく減らなくても構いません。

寝床で見る時間が短くなった。仕事中の中断が一回減った。食事中に会話へ戻れた。このような変化も、生活にとっては意味のある改善です。

最も効果があり、続ける負担が少なかった対策を二つ残します。合わなかったものは失敗ではなく、「自分には別の方法が必要」という情報です。

自分だけでやめられないときの相談先

環境を変えても、スマホの使用を調整できないことはあります。

その場合も、「自分が弱いから」と決めつける必要はありません。不眠、強いストレス、抑うつ、不安、ADHDの特性、孤独、家族や職場の状況などが関係している可能性があります。

次のような状態が続くときは、精神科・心療内科、依存症を扱う医療機関、学校の相談室、心理職などへの相談を検討してください。

  • 欠席、遅刻、成績低下、仕事上の支障が続いている
  • 睡眠、食事、入浴、服薬など基本的な生活が崩れている
  • ゲーム、ギャンブル、買い物など特定の行動を止めにくい
  • スマホを使えないと、強い不安、落ち込み、怒りが出る
  • 家族との激しい衝突や金銭問題が起きている
  • 運転中や歩行中など、危険な場面での使用を止められない
  • 使用を減らす試みを繰り返しても、生活への支障が改善しない

相談するときは、「スマホを何時間使ったか」だけでなく、眠れない、気分が落ち込む、仕事が手につかないなど、生活上の困りごとも伝えてください。

青少年の場合は、一方的に端末を取り上げるだけでは、家族との対立が強まることもあります。緊急連絡や友人関係を維持する方法を確保し、保護者も食卓では使わないなど、共有できるルールを話し合うことが大切です。

受診先に迷う方は、精神科と心療内科の違い・迷ったときの選び方も参考にしてください。

まとめ|スマホではなく「使い方の自動運転」を止めよう

この記事で解説した内容を振り返ります。

  • スマホ依存は正式な診断名ではなく、生活に支障を及ぼす問題のある使用として考える
  • 長時間使っているだけでなく、自分で調整できるか、何が後回しになったかを見る
  • やめにくさには、習慣、報酬への期待、感情からの回避、FoMO、使い始めやすさが関わる
  • 意志力で毎回我慢するより、通知、置き場所、ログイン方法など、開く前の環境を変える
  • スマホが果たしていた役割を、短く始められる別の行動へ移す
  • 一度破っても、次の区切りから再開できるルールを作る
  • 生活への支障が大きいときは、スマホ以外の不調も含めて専門家へ相談する

目標は、スマホを完全に捨てることではありません。

必要なときには便利な道具として使い、使いたくないときには閉じられる。つまり、使うか使わないかを自分で選べる状態を取り戻すことです。

今夜から始めるなら、スマホを置く場所を一つ決めてみてください。その小さなフィールド変更が、自動運転を止める最初の一歩になります。

次の一歩

監修:公認心理師・だびで | だびでの心理室

参考文献

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※本記事は上記文献をもとに、公認心理師・だびでが執筆時点(2026年9月)の情報で構成しています。

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