「また同じことを考えてしまった」「気づいたら最悪の結論になっている」——そんな経験はありませんか?
頭の中でぐるぐると繰り返す思考を「自動思考」と呼びます。自動思考は気づかないうちに気分や行動に影響を与えており、放っておくと気持ちがどんどん落ち込んでいくことがあります。
このワークシートは、認知行動療法(CBT)の技法をもとに、自動思考を13のステップで丁寧に検討していくための無料ツールです。書き出すことで思考のクセに気づき、別の見方を見つけるお手伝いをします。
思考検討ワークシートとは?
「なんでこんなことを考えてしまうんだろう」——気分が落ち込んでいるときほど、頭の中では同じ思考がぐるぐるとループしやすくなります。認知行動療法(CBT)ではこれを「自動思考」と呼び、気づかないうちに気分や行動に影響を与えていると考えます。
この思考のループは、いわば心の「バグ」です。意識しないまま走り続ける誤った処理を、書き出すことで一度止め、別の解釈を上書きする——それがこのワークシートの役割です。
13のステップに沿って自動思考を丁寧に検討することで、物事の見方のクセに気づき、気持ちを少し楽にするお手伝いをします。
こんなときに使えます
- 落ち込みや不安が続いていて、その理由がよくわからないとき
- 何度も同じことを考えてしまい、頭の中から離れないとき
- 物事をネガティブに捉えすぎていると感じるとき
- カウンセリングや自己学習の一環として、思考を整理したいとき
使い方(3ステップ)
STEP.1 ― 状況と気分を書き出す
気になった出来事や、そのときの気分(不安・落ち込み・イライラなど)を記録します。何点くらいつらかったかも数字で記しましょう。
STEP.2 ― 自動思考と認知の偏りを確認する
そのとき頭に浮かんだ考え(自動思考)を書き出し、10種類の認知の偏りのうちどれに当てはまるかを確認します。
STEP.3 ― 別の考え方を検討して気分の変化を確認する
「他の見方はできないか?」を検討し、修正した考えを書きます。最後に気分が変化したかどうかを数字で振り返ります。
⚠️ 注意:このシートは診断や治療を目的としたものではありません。
あくまで自動思考を整理するためのセルフケアツールです。症状がつらい場合は、専門家への相談をおすすめします。
▼ 思考検討ワークシート(無料・ブラウザで使えます)
正解はありません。自分のペースで、正直に書いてみてください。
出典:ベック, J. S. (2022). 認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第3版 (伊藤正哉・神村栄一・藤澤大介 監訳). 星和書店. (原著出版 2020) p.377
状況と思考
思考を検討
別の視点
次の一歩
周囲で起きたこと、または内面で起きたこと(強い感情・苦痛な感覚・イメージ・白昼夢・フラッシュバック・将来への心配など)
当てはまるものをタップ/クリックして選択(複数可)。PCではホバーで説明が表示されます。
⚫ 全か無か思考
🔄 過度の一般化
🔍 心のフィルター
➖ マイナス化思考
💨 結論の飛躍
🔎 拡大解釈と過小評価
💢 感情的決めつけ
📏 すべき思考
🏷️ レッテル貼り
🎯 自己関連づけ
その思考を支持する事実や根拠
反証・例外・見落としていた事実
同じ状況を別の角度から見ると?
自分自身にも同じ言葉をかけてみましょう
補足:認知の偏りとは?
ワークシートのSTEP2では「認知の偏り」を確認します。認知の偏りとは、思考のクセのようなものです。気分が落ち込んでいるときや強いストレスを感じているときに起きやすく、事実よりもネガティブな方向に考えが引っ張られてしまいます。
たとえば、こんな思考パターンがあります。
- 全か無か思考:「完璧でなければ失敗」と白か黒かで考えてしまう
- 過度の一般化:一度の失敗から「いつも自分はダメだ」と広げてしまう
- 感情的決めつけ:「不安を感じるから危険なはず」と感情を根拠にしてしまう
- すべき思考:「〜すべき」と自分に厳しすぎるルールを課してしまう
ワークシートには10の思考の癖が一覧になっています。「自分にはどのクセが多いのだろう?」と気になった方は、以下の解説記事も参考にしてみてください。
→ 【公認心理師が解説】思考の癖に気づく|認知行動療法(CBT)で学ぶ10の思考パターン
ツールを使うコツ
正解はありません
ワークシートに「正しい答え」はありません。思い浮かんだことを素直に書き出すことに意味があります。うまく書けなくても大丈夫です。
書き出すだけでも効果があります
頭の中で考え続けるより、言葉にして外に出すだけで気持ちが整理されることがあります。全部の項目を完璧に埋める必要はありません。気になる質問だけ取り組んでみてください。
記録として残しておくと役立ちます
ワークシート下部の「印刷・PDF保存」ボタンで手元に残しておくことができます。カウンセリングの場に持参して、支援者と一緒に振り返ることもできます。
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- 【公認心理師が解説】思考の癖に気づく|認知行動療法(CBT)で学ぶ10の思考パターン
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まとめ
「うまく書けなくていい」「全部の項目を埋めなくていい」——このワークシートは、完璧な答えを出すためのものではありません。頭の中でくり返している思考を、ただ「外に出す」ことに意味があります。
認知の偏りに気づくたびに、少しずつ物事の見方が柔らかくなっていきます。小さな一歩の積み重ねが、気持ちの変化につながります。まずは気になる場面を一つだけ取り上げて、試してみてください。