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「断りたいのに、つい引き受けてしまう」「言いたいことを飲み込んで、あとからモヤモヤする」「逆に、強く言いすぎて後悔する」。そんな経験はありませんか?
言いにくいことを伝えるのが苦手なのは、性格の問題というより、まだ練習の機会が少なかった「スキル」の問題であることが多いものです。スキルなので、練習すれば少しずつ身についていきます。
このツールは、自分も相手も大切にする伝え方(アサーション)を、DESC法の4つのパーツで「セリフ」に組み立てて練習するための無料ツールです。
アサーション練習シート(DESC法)とは?
アサーション(assertion)とは、自分の気持ちや考えを、相手のことも尊重しながら率直に伝えるコミュニケーションのことです。伝え方は大きく、相手を責めたり言い負かしたりする「攻撃的」、自分の気持ちを飲み込んでしまう「非主張的」、自分も相手も大切にする「アサーティブ」の3つに分けて考えられます。
DESC法は、アサーティブな伝え方を組み立てるための型です。アメリカのシャロン・バウアーと心理学者ゴードン・バウアーが著書『Asserting Yourself』で紹介した方法で、日本でも平木典子さんのアサーション・トレーニングの本などで紹介されています。
- D(Describe):事実を描写する
- E(Express):自分の気持ちや状況を伝える
- S(Specify):相手にしてほしいことを具体的に提案する
- C(Consequences / Choose):相手の返事に応じた結果と、次の一手を考える
RPGに例えるなら、「たたかう」と「にげる」しかなかったコマンドに、「はなす」を加えるようなものです。攻撃でも我慢でもない第3の選択肢を、あらかじめセリフとして用意しておくことで、いざという場面でも選びやすくなります。
→ アサーションの考え方や3つのタイプについては 【公認心理師が解説】「ちゃんと伝える」ってむずかしい?――心がラクになる“アサーション” で詳しく解説しています。
こんな時に使えます
- 仕事や誘いを断りたいのに、断り方がわからないとき
- 家族やパートナーに、お願いしたいことがうまく切り出せないとき
- くり返し起きている困りごとを、角を立てずに伝えたいとき
- 我慢を重ねたあとに、つい強い言い方で爆発してしまうとき
- 会議や話し合いで、自分の意見を言う準備をしておきたいとき
- カウンセリングで練習したアサーションを、自分でも続けたいとき
使い方(6ステップ)
STEP.1 ― 伝えたい場面を書く
誰に、どんな場面で、本当は何を伝えたいのかを書きます。「断りたい」「お願いしたい」など、伝えたいことに近いものを選ぶと、STEP.3の例文がそれに合わせて変わります。
STEP.2 ― いつもの言い方をふりかえる
同じ場面での「攻撃的な言い方」と「非主張的な言い方」を書き、言いにくくしている考え(「嫌われるかもしれない」など)を選びます。
STEP.3 ― DESCでセリフを組み立てる
D(事実)・E(気持ち)・S(提案)・C(Yesのとき/Noのとき)の順に書きます。各パーツには「✗ よくある言い方」と「○ DESCの言い方」の例がついています。
STEP.4 ― セリフを確認する
4つのパーツが1つのセリフにまとまって表示されます。声に出して読み、セルフチェックをします。「いつも」「なんで」など、相手が責められていると感じやすい言葉が入っていると、ヒントが表示されます。
STEP.5 ― アクションプランを立てる
いつ・どこで伝えるか、本番の前にどう練習するかを決め、いまの「言えそう度」を記録します。
STEP.6 ― まとめを保存する
3つの言い方の比較、Noと言われたときの次の一手、アクションプランが1枚にまとまります。PDFや印刷で保存しておくと、本番前の見直しに使えます。
⚠️ 注意:このシートは診断や治療を目的としたものではありません。
あくまで気持ちの伝え方を練習するためのセルフケアツールです。症状がつらい場合は、専門家への相談をおすすめします。
▼ アサーション練習シート(無料・ブラウザで使えます)
「断りたいのに断れない」「言い方がきつくなって後悔する」。そんな場面で、自分も相手も大切にした伝え方(アサーティブな伝え方)を練習するためのシートです。
いつもの言い方をふりかえってから、DESC法(事実 → 気持ち → 提案 → 次の一手)の4つのパーツでセリフを組み立てます。最後に、組み立てたセリフを読み上げて確認できます。
うまく書けなくても大丈夫です。入力した内容はこの画面の中だけで使われ、どこにも送信・保存されません。
※暴力・ハラスメント・脅しなど、伝えることで身の危険がある相手には、このシートで練習して一人で向き合う必要はありません。安全を最優先にして、信頼できる人や専門の相談窓口に相談してください。
Q伝えたい場面を書く
誰に伝えたいですか? 伝えたいことに近いのは? 伝えることを考えたときの気持ち(いくつでも) その気持ちの強さWいつもの言い方をふりかえる
同じ場面で「強く言ってしまう言い方」と「我慢してしまう言い方」を書いてみます。違いを比べることで、ちょうどいい言い方が見つけやすくなります。思いつく方だけでもかまいません。
頭に浮かぶ考えは、事実とは限りません。あてはまるものを選んでください(いくつでも)。
WDESCでセリフを組み立てる
4つのパーツを順番に書きます。上の例は、STEP.1で選んだ「伝えたいこと」に合わせて変わります。
Rセリフを確認する
▶ 組み立てたセリフ(声に出して読んでみましょう)声に出してみて、言いにくい部分や長すぎる部分があれば、STEP.3に戻って短く直してみましょう。セリフは「台本」です。本番では、ひとこと目(D)だけ覚えておけば大丈夫です。
Wアクションプランを立てる
本番の前に、どう練習しますか?(いくつでも) いまの「言えそう度」は?Rまとめ
相手の返事は、自分では決められません。伝えた結果よりも、「自分の気持ちを言葉にしてみた」という一歩を大切にしてください。
「嫌われるかもしれない」などの考えが強くて動けないときは、認知再構成法シートでその考えを見直すのもひとつの方法です。書き方のコツと例文はDESC法の書き方と例文の記事で紹介しています。
参考文献
- Bower, S. A., & Bower, G. H. (2004). Asserting yourself: A practical guide for positive change (Updated ed.). Da Capo Press.
- 平木典子. (2012). アサーション入門: 自分も相手も大切にする自己表現法. 講談社. [Amazon|楽天]
- 平木典子. (2021). 三訂版 アサーション・トレーニング: さわやかな〈自己表現〉のために. 日本・精神技術研究所. [Amazon|楽天]
- Speed, B. C., Goldstein, B. L., & Goldfried, M. R. (2018). Assertiveness training: A forgotten evidence-based treatment. Clinical Psychology: Science and Practice, 25(1), e12216. https://doi.org/10.1111/cpsp.12216
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ツールを使うコツ
「攻撃的」「非主張的」な言い方も書いてみる
書きたくないと感じるかもしれませんが、うまくいかない言い方をはっきりさせておくと、アサーティブな言い方との違いが見えやすくなります。STEP.4とまとめで3つの言い方を並べて比べられるので、思いつく方だけでも書いてみてください。
お願い(S)は小さく、1つに絞る
「もっと協力してほしい」のような大きなお願いは、相手も何をすればいいのかわかりにくくなります。「火曜と木曜の片づけをお願いしたい」のように、具体的で、相手が「はい」と言いやすい大きさにするのがコツです。言いたいことが複数あるときは、今回伝えるものを1つ選びましょう。
相手の返事は自分では決められない
アサーションは、相手を思いどおりに動かす方法ではありません。アサーティブに伝えても、相手がNoと言うことはあります。だからこそ、C(Noのとき)の次の一手を先に考えておくと、断られても慌てずに話を続けやすくなります。「伝えられたかどうか」を自分の目標にしましょう。
「今は言わない」と決めるのもアサーション
相手の状態や場面によっては、今は伝えないほうがよいこともあります。自分で考えたうえで「今回は言わない」と選ぶことも、自分を大切にした立派な選択です。また、暴力やハラスメントなど、伝えることで身の危険がある相手には、一人で向き合わずに安全を最優先にしてください。
関連記事・ツール
- 👉 アサーションの練習方法|DESC法の書き方と場面別の例文:このシートの書き方のコツと、断る・頼む・伝えるの記入例
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まとめ
言いにくいことを伝えるのは、誰にとっても緊張するものです。最初からうまく言えなくても大丈夫です。セリフを書いて、声に出して読んでみる。それだけでも、本番で言葉が出てきやすくなります。
まずは、少し言いやすい相手や小さな場面から試してみてください。伝えられた経験を1つずつ積み重ねることが、「自分も相手も大切にする伝え方」を身につける近道です。