【公認心理師が解説】本が読めないときの攻略アイテム|AudibleとKindle+の使い分け

本、ヘッドホン、電子書籍と黒柴のだびでが描かれた、AudibleとKindle+の使い分けを紹介するイラスト。 攻略アイテム

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「気になる本を買ったのに、数ページで止まっている」

「同じ行を何度も読んでいるのに、内容が頭に入ってこない」

「前は読書が好きだったのに、最近は本を開く気力がわかない」

本が読めない自分に、がっかりしていませんか。

読めないのは、あなたの意志が弱いからとは限りません。疲れやストレスがたまると、集中する力は落ちやすくなります。RPGに例えるなら、HPが減った状態で、いつもと同じダンジョンに挑もうとしているようなものです。

先に結論を言うと、そんなときは「読み方」という装備を変えるのが一つの手です。耳で聴くならAudible、少しずつ試し読みするならKindle+。どちらが合うかは、今の状態と生活スタイルによって変わります。

この記事では、本が読めなくなる理由を整理したうえで、2つのサービスの特徴と、状態別・ライフスタイル別の選び方を紹介します。

この記事でわかること

  • 本が読めなくなる4つの理由
  • 「聴く読書」と「目で読む読書」の違い
  • Audibleが向いている人・向いていない人
  • Kindle+(旧Kindle Unlimited)が向いている人・向いていない人
  • 今の状態とライフスタイル別の選び方
  • 無料体験を使うときの注意点

注意: この記事は公認心理師の立場から情報提供を目的として書いています。診断・治療の断言はできません。気になる症状がある場合は、必ず専門家にご相談ください。

「本が読めない」のはなぜ?よくある4つの理由

本が読めなくなる理由は、人によって違います。まずは、自分がどれに近いかを確かめてみてください。

①疲れやストレスで集中力が落ちている

仕事や家事、人間関係で消耗していると、文字を追って内容を理解するための余力が残りにくくなります。読書は、思っている以上に集中力を使う作業です。

ストレスとの付き合い方を整理したい方は、「ストレスコーピングとは?」も参考にしてください。

②気分の落ち込みが続いている

気分の落ち込みが続くと、集中しにくくなったり、物事を決めるのに時間がかかったりすることがあります。うつ病の診断基準(DSM-5-TR)でも、「思考力や集中力の低下」が症状の一つに挙げられています(American Psychiatric Association, 2022)。

落ち込みや、何にも興味がわかない状態が2週間以上続いている場合や、生活に支障が出ている場合は、本で何とかしようとするより、医療機関に相談することを優先してください。今の状態を確かめたい方は、QIDS-J(簡易抑うつ症状尺度)でセルフチェックができます(診断ではありません)。くわしくは「うつ病とは?」で解説しています。

③注意の特性がある

ADHDのように注意の特性がある方は、長い文章を目で追い続けることに負担を感じやすい場合があります。これは努力不足ではなく、特性と読み方の相性の問題です。特性との付き合い方は、「大人のADHD」で紹介しています。

④時間や環境が合っていない

まとまった時間がとれない、本を開いてもついスマホに手が伸びる、といった環境の問題もあります。スマホとの距離の取り方は、「スマホをやめたいのにやめられない理由」を参考にしてください。

ここまで読んで「今は本どころではない」と感じた方は、読書を休んでも大丈夫です。HPが少ないときは、まず宿屋で休むのも立派な攻略です。少し回復してから、この先の方法を試してみてください。

「聴く」と「目で読む」はどう違う?研究からわかること

「耳で聴くのは、ちゃんと読んだことにならないのでは」と気にする方もいます。

ある研究では、ノンフィクションの本を「オーディオブックで聴く」「電子書籍で読む」「両方を同時に使う」の3つの方法で学んでもらい、理解度を比べました。その結果、直後のテストでも2週間後のテストでも、3つの方法の間に統計的にはっきりした差は見られませんでした(Rogowsky et al., 2016)。

91名を対象にした1つの研究なので、これだけで結論は出せません。それでも、「聴くのは手抜き」と考える必要はなさそうです。

一方で、聴く読書と目で読む読書には、それぞれ得意なことがあります。

耳で聴く(Audible) 目で読む(Kindle・紙の本)
目と手 ふさがっていても使える 使う必要がある
ペース 一定の速さで進む(速度は調整できる) 自分のペースで止まったり戻ったりできる
見返し しにくい しやすい
向いている本 物語、エッセイ、語りかけるような実用書 図や表が多い本、書き込みながら進めるワークブック
聴く読書はながら時間に、目で読む読書は見返しや図表の確認に向いていることを示した比較図。
聴く読書と目で読む読書には、それぞれ得意な場面があります。

また、心理学のセルフヘルプ本を読んで学ぶ方法は「読書療法(ビブリオセラピー)」と呼ばれ、研究も行われています。8つの研究をまとめた分析では、成人の抑うつ症状を長期的に軽くするのに役立つ可能性が示されました(Gualano et al., 2017)。ただし、若い人を対象にした研究でははっきりした効果が見られず、治療の代わりになるものでもありません。本は、必要に応じて専門家のサポートと組み合わせて使う、セルフケアの道具の一つと考えてください。

Audible(聴く読書)が向いている人・向いていない人

Audibleは、Amazonが提供するオーディオブックのサービスです。プロのナレーターや声優が本を朗読した音声を、スマホのアプリで聴けます。

主な特徴(2026年10月時点)

  • プレミアムプラン:月額1,500円で、対象作品が聴き放題
  • スタンダードプラン:月額880円で、毎月1作品を選んで聴ける
  • 初めての方などは、30日間の無料体験がある
  • 再生速度を0.5〜3.5倍の範囲で調整できる
  • スリープタイマーで、決めた時間に再生を止められる
  • ダウンロードしておけば、通信がなくても聴ける

私自身、車通勤の時間にAudibleを聴いています。運転中は目も手も使えませんが、耳は空いています。毎日の移動時間が、そのまま学びの時間になりました。

※運転中にスマホを操作するのは危険です。作品の選択や再生の操作は、出発前か停車中に済ませてください。また、内容が込み入っていて運転への注意がそれてしまう作品は、運転中には避けるのがおすすめです。

向いている人

  • 目が疲れやすく、画面を見るのがつらい
  • 文字を追うと、内容が頭に入ってこない
  • 横になったまま、目を閉じて本に触れたい
  • 通勤・家事・散歩などの「ながら時間」を活用したい

向いていない人

  • 図や表が多い本、書き込みながら進めるワークブックを使いたい
  • 必要な部分だけを拾い読みしたい
  • 音声だと聞き流してしまい、内容が残りにくい

寝る前に聴く場合は、スリープタイマーを設定し、落ち着いた内容の作品を選ぶのがコツです。続きが気になる作品や、考えごとが広がるような作品は、かえって目が冴えてしまうことがあります。眠りの悩みが続いている方は、「不眠症とは?」も参考にしてください。

🎧 耳から本に触れてみる

Audible なら、目を使わずに本を「聴く」ことができます。初めての方は30日間の無料体験からスタートできます。

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Kindle+(旧Kindle Unlimited)が向いている人・向いていない人

Kindle+は、Amazonの電子書籍の読み放題サービスです。2026年10月22日に「Kindle Unlimited」から名前が変わりました。日本では、料金やサービス内容は変わっていません。

主な特徴(2026年10月時点)

  • 月額980円で、対象の電子書籍が読み放題
  • 同時に20冊まで借りられる(返却期限なし)
  • 初めての方などは、30日間の無料体験がある
  • スマホ・タブレット・Kindle端末で読める
  • 文字の大きさや背景の色を調整できる

なお、アメリカのKindle+ではオーディオブックも対象に加わりましたが、2026年10月時点で、日本では対象外です。

向いている人

  • 文字を大きくしたり背景を暗くしたりして、目の負担を減らしたい
  • 気になる本を何冊か開いて、自分に合うものを探したい
  • 図解の本や、マンガで学べる心理学の本が好き
  • 昼休みや待ち時間などのスキマ時間に、少しずつ読みたい

向いていない人

  • 読みたい専門書が決まっている(読み放題の対象外のことが多い)
  • 気に入った本を、ずっと手元に残しておきたい(対象作品は入れ替わることがある)

読みたい本が読み放題の対象外だったときは、その本のKindle版を1冊だけ買うのも一つの方法です。紙の本より持ち運びやすく、文字の大きさも調整できます。

📚 少しずつ試し読みしてみる

Kindle+(旧Kindle Unlimited)なら、心理学・セルフケア関連の本も読み放題。初めての方は30日間の無料体験でお試しできます。

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あなたに合うのはどっち?状態とライフスタイルで選ぶ

どちらか一つが正解というわけではありません。RPGで行き先に合わせて装備を付け替えるように、今の状態や生活に合わせて選んでみてください。

文字がつらいときは聴く、本を試したいときは電子書籍、図表やワークは紙の本、どれもしんどいときは休むという選択図。
その日の状態や目的に合わせて、読み方を選んでみてください。

今の状態で選ぶ

今の状態 おすすめ 理由
疲れていて、文字が頭に入らない Audible 目を使わず、聴くだけで内容に触れられる
画面や文字を見ると目が疲れる Audible 目を閉じたままでも使える
気になる本を少しずつ試したい Kindle+ 何冊か開いて、合う本を探せる
図や表を見ながら理解したい Kindle+・紙の本 自分のペースで見返せる
書き込みながらワークをしたい 紙の本 書き込みや付箋が使いやすい
どれもしんどい 休む 回復を優先する。つらさが続くときは相談を

ライフスタイルで選ぶ

生活の場面 おすすめ ポイント
車通勤 Audible 操作は出発前か停車中に済ませる
電車通勤(座れる) Kindle+ スマホ1台で読める
電車通勤(満員) Audible 立ったままでも聴ける
家事・育児の合間 Audible 手を動かしながら聴ける。中断しても再開しやすい
昼休み・待ち時間 Kindle+ 数分あれば数ページ読める
散歩・運動中 Audible 外に出るきっかけにもなる
寝る前 Audible スリープタイマーが使える。画面の光を避けたい人に

散歩しながら聴く使い方は、気分が落ち込みがちなときにもおすすめです。認知行動療法には、気分が上がるのを待つのではなく、小さな行動から始めて気分の回復を目指す「行動活性化」という方法があります。「好きな作品の続きを聴くために、10分だけ歩く」は、その小さな一歩になります。歩いた日と気分を活動記録表につけてみると、自分に合う過ごし方が見えてきます。くわしくは「行動活性化とは?」をご覧ください。

両方を使い分けるのも一つの方法です。たとえば「通勤中はAudible、昼休みはKindle+」のように、場面で分けて使えます。ただし、両方に登録すると月額は合計2,480円になります。まずはどちらか一つを試してみて、物足りなければもう一つを足す、くらいがちょうどよいと思います。

🎧📚 心理学・セルフケアをもっと深く学ぶ

通勤や家事のスキマ時間に「耳から」学ぶなら Audible、じっくり活字で読み込むなら Kindle+(旧Kindle Unlimited)がおすすめです。どちらも無料体験からスタートできます。

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無料体験を使うときの注意点

無料体験は気軽に試せる便利な仕組みですが、いくつか気をつけたい点があります。

  • 対象になる人が決まっている:Audibleは、初めての方か、退会から1年以上たった方が対象です。Kindle+も、初めての方など対象になる方に限られます。登録画面に「無料体験」と表示されるかを確認してください。
  • 無料期間が終わると、自動で有料になる:解約の手続きをしない限り、無料期間が終わると月額料金がかかり始めます。
  • 解約の目安日をカレンダーに入れておく:登録した日に、無料期間が終わる数日前の日付をカレンダーやリマインダーに入れておくと安心です。
  • 途中で解約しても、無料期間中は使える:Audibleは、無料体験中に解約しても、無料期間の終了日までは聴けます。
  • 休む方法もある:Audibleには休会、Kindle+には一時停止の仕組みがあります。使える条件は、それぞれの公式ページで確認してください。

また、気分が大きく落ち込んでいるときは、新しい契約の判断を急がなくて大丈夫です。手続きそのものが負担になることもあります。少し落ち着いてから、ゆっくり考えてみてください。

料金やキャンペーンの内容は変わることがあります。登録の前に、公式ページで最新の条件を確認してください。

まとめ

この記事で解説した内容を振り返ります。

  • 本が読めなくなるのは、疲れ、気分の落ち込み、注意の特性、環境など、さまざまな理由で起こる
  • 落ち込みが2週間以上続くときは、読書より医療機関への相談を優先する
  • 聴いても読んでも、理解度に大きな差はなかったという研究がある
  • 目を使わずに本に触れたいならAudible、少しずつ試し読みしたいならKindle+
  • 今の状態とライフスタイルに合わせて選び、まずは一つから試す
  • 無料体験は、対象になる条件と自動更新に注意する

本が読めない時期があっても、それはあなたがダメになったということではありません。HPが減っているときに、いつもの方法がうまくいかないのは自然なことです。

読み方を変えれば、また本に触れられる日が来ます。耳で少しだけ聴いてみる、1ページだけ開いてみる。そのくらいの小さな一歩から始めてみてください。つらさが続くときは、一人で抱えずに、医療機関や公認心理師などの専門家に相談してください。

次の一歩

執筆・監修:公認心理師・だびで | だびでの心理室

参考文献

  • American Psychiatric Association. (2022). Diagnostic and statistical manual of mental disorders (5th ed., text rev.). https://doi.org/10.1176/appi.books.9780890425787
  • Audible. (n.d.). Audible(オーディブル). https://www.audible.co.jp/ (2026年10月28日閲覧)
  • Gualano, M. R., Bert, F., Martorana, M., Voglino, G., Andriolo, V., Thomas, R., Gramaglia, C., Zeppegno, P., & Siliquini, R. (2017). The long-term effects of bibliotherapy in depression treatment: Systematic review of randomized clinical trials. Clinical Psychology Review, 58, 49–58. https://doi.org/10.1016/j.cpr.2017.09.006
  • Rogowsky, B. A., Calhoun, B. M., & Tallal, P. (2016). Does modality matter? The effects of reading, listening, and dual modality on comprehension. SAGE Open, 6(3). https://doi.org/10.1177/2158244016669550
  • Amazon.co.jp. (n.d.). Kindle+. [URL要確認] (2026年10月28日閲覧)

※本記事は上記文献をもとに、公認心理師・だびでが執筆時点(2026年10月)の情報で構成しています。

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